2012/3/3 ●サンチーの岩壁画

昨日会った老人と朝に市場で待ち合わせ、チャイを飲んでから出発した。例の壁画は徒歩で20分ほどだという。サンチーは世界遺産になっているアショカ王のストゥーパがなければ何もない小さな村だ。歩き始めてすぐにバス道を逸れる。麦畑の間の道を歩き、いくつか集落を抜ける。1人では絶対に来れないような場所なのでラッキーだ。老人は普通に歩いているが、自分は足がまだ痛いので引きずって歩いていると少し遅れがちになる。

岩がごろごろしている小高い丘の上に、ナーガを背負った古いヴィシュヌの石像がうち捨てられている。そこで少し休憩。とても見晴らしがいい。この時期は麦の青々とした畑が鮮やかに眼下に広がっていて見ていて気持ちがいい。やがてまた歩き出すとその小高い丘のふもとに大きな岩が重なり合うように立っていて、老人はそこへ自分を案内した。指差す方向を見てみるとなるほど確かに見事な絵が描かれている。一昨日見たモノに比べると数も少なく、絵が薄れていて判別が難しいものもある。しかし矢を放つ人、牛、エジプトで見れそうな女性が横向きに立っている絵もある。すっかり興奮する。喜んでいる自分を見て老人も気を良くしたのか、あれこれと絵を指差して自分の持っていた水を口に含み、絵に吹きかける。そうすると絵が鮮やかに浮かび上がるのだ。ひょっとしてこんなことをしているから絵が薄くなっているのだろうか。

その後、すぐそばに半つる性の木が大きな岩の割れ目に沿って成長し、じわじわと岩を穿っている姿などを眺めて、バス道に向かって戻る。この頃になると足が痛い。老人は普通に歩いているだけなのだが、どんどん差が開いていく。50m以上も離されては老人に少し待ってもらうというのを何度か繰り返し、ようやくバス道近くまで戻った。大きなバニヤン樹の下で休む。もう歩けそうにない。昼からは近くにあるというヴィディーシャという町にあるモスクに連れて行ってもらう約束だったが、やめることにした。少し休みたかった。

老人に「How much you charge?」と尋ねると、少し躊躇した揚句「4000Rs 」と老人は答えた。こういうところに本性が現れるものだ。財布から500Rs札を取り出し、老人に渡した。今日一日のガイド料として用意してきたものだった。これでも半日分としては十分なはずだ。

昼を過ぎていたが、老人と別れて宿に戻り、2時間ほど昼寝をした。足の痛みが少し和らいだので、ストゥーパを見に行くことにした。小高い丘をゆっくりと登り、ベンチで時々休憩しながら精巧な石彫りの門などを眺めて歩く。とてつもなく立派で当時のアショカ王の権勢がたやすく想像できる。こんな丘の上にこれだけの岩を運ぶだけでも相当な動員力がないと不可能だろう。

夕方になって夕日を眺めてから宿に戻った。