旅行を終えて

インドを旅行すると、いつも宿題をもらって帰ってくる気がする。日記の中で「インドの子供は割合簡単に学校を休んでしまう。モラルが低いのではないか」と書いたが、自分のことについて言えば、インドの子供たちよりも出来が悪いかもしれない。今回久しぶりにインドを訪れることになったのだが、出発する前に少なからずためらいがあった。14年前に旅した時にもらって帰ってきた宿題が、あまりはかどっていなかったからだ。だから今回のインド行きは、まるで宿題をやっていない子供が教室の後ろの方から目立たないようにこっそり入るような、そんな後ろめたさを感じながらの入国だった。

インドは、宿題をしてこなくても叱ってくれるわけでもないし、ましてやあの、木刀のような棒で叩いてくれるわけでもない。ちゃんとやってきても褒めてくれることもないだろう。宿題を与えられた者が、それとどのように向き合い、生きているのかを、ただじっと見つめているだけだ。インドは、大人の学校だと思う。

さて、今回も自分の中にいくつかそっと種をまいてもらって帰ってきた気がしている。「これを育ててみなさい」ということなのだろう。どんな種でどんな風に育つのかわからないが、畑のへりに立って眺めている自分がいる。それを放っておいてたとえ種がダメになったとしても、あるいは毎日水をそっと遣り続け、芽が出て、つるとなって柱を伝い、やがて何かの実をぶら下げたとしても、インドは何か声をかけてくれるわけではないだろう。

それでも旅行が終わった今、この種たちを大切にしようと改めて思うのは、それらが自分と深くつながっているという実感があるからなのだ。