高騰する授業料に初の法律規制、マハラシュトラ州

マハラシュトラ州議会は4日、高騰する私立学校の授業料を抑制するための州法「マハラシュトラ州教育施設法」を通過させた。早速来年にも施行されるという。インドでは加熱する受験戦争を背景に、人気の高い私立校が授業料のほか施設料、教材料、図書館利用料、コンピューター利用料、スクールバス料、寄付金などさまざまな名目でお金を集め、しかも毎年のようにそれらが値上げされることから、生徒たちの親から大きな反発の声が上がっており、天井知らずの集金手法に一定の歯止めをかけるのが狙いとされている。

→州議会で授業料規制法案が通過

政府が出資しない、完全独立経営の私立学校にこうした営業上の規制の網をかけるのは極めて異例のように思える。授業料を上げれば入学志願者は減少してしまい、市場経済の中で自然と需給バランスが取れるのではないかと思えるのだが、「生徒の保護者に必要な上昇コストの負担を要請している」というよりも「暴利をむさぼっている」という批判が根強いようで、州政府としても規制に乗り出さずにいられなかったようだ。特にムンバイのようなインド第一の商業都市では元々激しかった貧富の格差がますます広がっていて、授業料の極端な高騰により、お金持ちしか特定の学校に通えない状況が顕著になることが懸念されている。もともとインドは公立学校よりも私立学校の方が伝統があり、設備、教師の質ともに高い傾向にある。私学に通わせる経済力がある中流・上流家庭はますます質の高い教育を受けることができて、大学進学にも有利で、将来的にも良い職にありつくことができる。その傾向が授業料の高騰により強まると、国民の格差は一層固定化が進んでしまうだろう。同様の法律が、タミル・ナードゥやアンドラ・プラデーシュなど他州でも検討されているそうだ。

新たに導入される法律では私立校は授業料などを2年に一度の割合でしか改訂できず、しかも値上げするときは新学年(インドでは7月が多い)の始まる半年前に学校のPTAに通告、承認を得なければならないとしている。PTA内に設けられた実行委員会で承認を得られなければ、別に設けられた授業料規定委員会の決定が出るまでに旧授業料に15%の上乗せすることのみ認められるという。当初は授業料の値上げ上昇幅にもキャップがかぶせられる案が出ていたが、校長らで作る団体が州政府との法廷闘争を表明していたことから、結局見送られたようだ。罰則も最終案では軽減された。

違反者(校長)にはなんと刑事罰が科されることに驚く。最初の違反には10~50万ルピーの罰金、2回目以降には20~100万ルピーの罰金又は3~6か月の懲役刑が科されることもあるという。