2013バンガロールへの旅(8/28~9/4)

●支援している学校を見学させてもらう(その2)

食事を終えると、Kalaは女子生徒を一つの教室に集めて、いわゆる初経教育を始めた。パソコンとプロジェクター、田舎ということもあって畜電器を持参し、スタンダード8の生徒を中心に、成長期の身体の変化について説明するのだそうだ。そして生理用品の使い方なども説明し、1人ずつ生理用品を携帯するための可愛らしい巾着袋にインドで販売されているJohnson&JohnsonのStay freeという生理用ナプキン4個セット×2と、使用済みのものを入れる新聞紙で作った紙袋×2、下着2枚などを入れて配る。前に講義を受けた経験のある上級生にはナプキンだけを配布する。そしてこれを毎月繰り返すのだ。

 
配布する生理用品
配布する生理用品

とてもナイーヴな問題なので、男の自分は参加できない。できればKalaの講義の内容、進め方などをムービーに収めたかったのだが仕方がない。その間男子児童の相手をしたり、男性教師と話をして過ごす。学校の庭にはヤシの木がたくさん生えており、男性教師が長い竹竿でヤシの実を子供たちのために落してくれる。鉈で口を空け、中のジュースを飲めるようにストローを挿したヤシの実を自分にも持ってきてくれたので、喜んで飲ませてもらった。

 

先述したように、この学校はインドで言うところのクラス8~10(スタンダード8~10という呼び方をしていた)で、生徒数は220人余りだそうだ。教室を周っているときに男女の生徒のバランスをざっと眺めると、ほぼ同数のクラスもあれば、女子生徒が男子生徒の半分に満たないクラスもあった。インドではそもそも、特に子供については女子が男子よりも少ない。女子生徒が男子に比べて1割くらい少ないのは、むしろ健全で、それより更に少なければ何らかの事情で就学していない女子が多いと考えられる。もう少し正確に確認しておけばよかった。

 

もう一つ、Kalaが自分をこの学校へ連れてきてくれた理由があった。それは2か月ほど前に女子トイレに付設して作られた焼却炉を見せたかったからだという。

 

この学校は教室のある校舎から少し離れたところにトイレが立てられており(男女別)、女子のトイレの内側から使用済みの生理用品を焼却炉に捨てられるようになっている。現在、UNICEFとインド政府がこの方式による生理用品の処分方法を積極的に進めていて、MITUでも試験的に1基作って寄付したのだという。コストは1基当たり8500Rs、日本円で13000円くらいだ。その金額を聞いた時、思わず「安い!」と声を上げてしまった。現在、オーストラリアの団体からMITU宛に、この焼却炉の設置のための寄附をしたいとの申し入れがあるるらしいが、外国からの寄付に係るインドの法律により、すぐには寄付を受けられないのだという。

 
トイレの外に設置された焼却炉
トイレの外に設置された焼却炉

焼却炉の中を覗いて、思わずKalaと目を合わせた。彼女も困惑している。設置から2カ月たつというのに、使用された痕跡がほとんどないのだ。燃えカスや灰などがほとんど見当たらない。Kalaは近くにいた女子生徒をつかまえ、話しかけていた。後でKalaから話を聞くと、その女子生徒に使用済みのナプキンをどうやって処理しているのかを尋ねたらしい。その子は家に持ち帰り、軒先でこっそり燃やしているのだという。

 

こうした問題は大変ナイーブな問題だ。男性教諭しか見当たらないことも気になり、尋ねてみると、唯一校長だけが女性だという。もともとインドの学校では、生徒と教師の間に少し距離があるように思う。女子生徒が様々なことを気軽に相談できる大人を学校で見つけにくい、ということもあるのかもしれない。

 

 

Sri Someshwela Highschoolを後にし、車で10分ほど離れたところにあるSri Basaveshwara Junior collegeという学校に向かった。ここも田舎だが、綺麗な庭のある立派な学校だ。

ここもMITUによる支援活動の話が進んでいるが、この日は残念ながらKalaによる初経教育のレッスンも生理用品の配布などもなかった。この学校の創設者と会って話をし、ガンディアン(ガンジー主義者)だと紹介された。この辺りでこうしたいくつかの学校を作っているらしい。いずれも高等学校かカレッジに相当する、インドでは中等教育に位置づけられる教育施設だ。

 

インドでは行政が公教育にあまり力を入れてこなかったために、全国各地にこうした民間の有志によって教育施設が設立、運営されてきた。この学校もこうしたものの一つなのだろう。カレッジと名がつくが、クラス8~10とカレッジに相当するクラス11,12を開講し、教職を目指す女子学生もいるのだという。

 

せっかく日本人がきたということで大きな教室に集まってもらい、皆の前でスピーチをしてくれと頼まれる。黒板に自分の名前を漢字で書くと、それだけでどよめきが起きる。何とも恥ずかしい。自分などは教育とは何の縁もないただの日本人なのだ。

 

仕方ないので、日本の学校は6.3.3.制で多くの学生が男女に関係なく大学に進学すること、勉強でも絵を描くことでもクリケットでも、何でも好きなことを一生懸命やって下さい、そうすれば未来が開けるでしょうと当たり障りのないことを述べる。ここはカンナダ語ミディアムの学校と言うことで、自分のつたない英語ですらあまり通じていないみたいなので、Kalaが時々英語からカンナダ語に通訳して説明してくれた。もう少しインドと日本の違いについて気の利いたスピーチを考えておくんだったな、とここでも後悔。

 

インドと日本はいろんな点で大きく異なる。何か違いを示すことで、彼らに少しでも「気づき」の機会を与え、彼ら自身の有りようを彼ら自身で見つめ直すことにつながれば、それは素晴らしいことだと思う。

 

ちなみに教室に集まった生徒を見渡すと、全生徒が集まったわけではないと説明されたものの、男子と女子の数の差は歴然で、女子の生徒数は男子の数分の一というところだった。