アンチ名誉殺人法、6月本会議に提出へ

National Comission for Wemenの委員長を務めるギリジャ・ビャス下院議員は、いわゆるhonour killing(名誉殺人)を撲滅するための法案が現在準備されており、6月の本会議に提出される見込みであることを公表した。

          →アンチ名誉殺人法案、提出へ

 

honour killing(名誉殺人)とは、親やカースト集団の意にそぐわない男女交際を続けるカップルを、集団の名誉を守るという名目で殺してしまう事件を指す。当人たちの親、親族が手を下すことが多いが、背後にはそれをそそのかすカップ・パンチャヤット(合議制のジャーティ集団)の存在が指摘されている。殺人を犯した当人たちだけでなく、そのカップ・パンチャヤットのメンバーを逮捕・立件し、厳罰に処すことができるようにしているのが、この法案の特徴のようだ。実際にカップ・パンチャヤット内で行われる密議・謀議の類をどうやって法廷で立証できるのかは難しいようにも思うが、penal code(刑法)やevidence act(証拠法)にも手を加えて実効あるものにするという。

 

NGOの調べでは、インドにおけるhonour killingは主にパンジャブ、ハリヤナ、デリー、ウッタルプラデーシュの西部(デリー寄りの地域)を中心として起きることが多く、年間1000件程度ということなので、割と限定的だと言える。とはいえ、所属するコミュニティの名誉のために親がわが子を手に掛けるという、およそ外部の人間にとっては理解しがたい現象が頻繁に起きていること、また殺人事件には至らなくても、周囲の圧力に屈して自殺や心中のような悲劇的な結果に発展するケースも近年では珍しくない。

    ハリヤナ州でカップルが服毒心中、少女死ぬ

 

インドではこういった社会悪に対し、撲滅するための個別の法案がよくできるが、なかなか効果を発揮しない。単に処罰を定めた法律の施行だけでは社会に根付く因習を変えていくのは難しいようだ。例えばダウリを要因とした女性への暴力についても、そのための特別の法律があるが、ダウリに不満を募らせて嫁が殺される事件は、2005年の6000件から2009年の9000件にむしろ増えているという。