熾烈な争いの受験産業界、宣伝用の受験突破者に札束攻勢で「百万長者」も誕生

日本にも合格発表シーズンと言うのがあるが、インドはちょうど今ごろが合格発表シーズンらしい。インドではclassⅩ、classⅩⅡの節目に様々な教育機関(Education board)が試験を実施している。その上大学入試もある。色々調べてみたが、とにかくどうにもややこしい。メジャーなのはCBSEやCISCEなどの、比較的全国レベルで試験を実施している機関だが、各州ごとにも試験を主催する機関がある。一概には言えないが総じてCBSEのような全国区のほうがステイタスが高いらしい。学校がそれぞれの方針を定めてどれかの教育機関と提携し、そのカリキュラムに沿った授業を行うらしい。そこで学んだ児童たちはそれぞれの機関が実施する試験に申し込んで受験するという仕組みだ。

先週はIIT-JEE(インド工科大学の共通入学試験)の結果発表があった。インドでは成績優秀者の名前が公表され、新聞でもよく報道される。これらの成績優秀者たちは、まだ試験を受ける前から家族を巻き込んで大変な騒動とプレッシャーに巻き込まれる生活を強いられる。そのため受験に失敗して自殺に走る学生が社会問題化している。またそういった受験の過熱ぶりに呼応するように受験産業界も顧客である受験生を取り込むために競争が熾烈を極め、日本人にはちょっと想像がつかないような現象が生まれているようだ。

→家庭教師、IIT成績優秀者の成功を横取り では、IIT-JEEの成績優秀者が、すでに受験の2年前からCoaching Center(私塾)から勝手にテキストやノートを自宅に送りつけられ、いずれ大学受験で優秀突破者として名を馳せるであろう時期に合わせて、「ウチの塾が指導した」という宣伝をしたいためだけの実績作りに利用された経緯を紹介している。学生の方は「その塾に申し込んでもいないし、お金も払っていないのに送り続けられ、自分をその塾の生徒として登録していたようだ。」と語っている。

この学生だけでなく、多くの受験成績優秀者たちは、結果発表とともに名前が公表されると、全く関係ない塾や家庭教師と自分がつながりがあるかのように宣伝されていることに気が付き、愕然とするという。

しかし彼らが全員、無垢で素朴な単なる被害者だとは限らない。中には全く関係のない塾や家庭教師たちと積極的に契約し、さもそこで指導してもらったり勉強したかのように装って、ユニホームを着用して写真に収まる学生も多いという。

→富にまみれる受験突破者

なんと試験の難易度に応じて、「契約金相場」なるものが存在し、ランキングで10位以内に入るような学生は、classⅩの学生の場合は10~50万ルピー、インターメディエイト(大学前教育)カレッジで70万ルピー、IIT-JEEの上位成績者だと100~200万ルピーにも跳ね上がるという。受験前の模試などで、Coachin Centerの経営者が予め目ぼしい学生を見つけ、10~40万ルピー程度の「仮払金」を払って「青田買い」をしておき、後の本試験での成績に応じて「残金」を支払ったり、学生の親が業者間を競わせて契約金を吊り上げたり、それらを仲介するブローカーや裏工作に暗躍してマージンを得るような者の存在も指摘されている。

なんともため息が出ると言うか、本末転倒というか。。受験生自体がプロ化しているのだ。