インドの干ばつ、緩和の見込み


8月初めに  →インド、今年は干ばつか で今季のモンスーンの弱さと干ばつの可能性が高いことを紹介したが、その後8月は地域差こそあるものの、概ね平年並みの降雨を記録し、さらに8月末~9月1週目の各地の潤沢に降雨により、状況は大幅に改善されたようだ。

 

→モンスーンほぼ平年並みに回復

 

ひと月前の8月11日、インド全土では平年比マイナス16%の累積雨量にとどまっていると紹介した。しかしほぼ1カ月たった9月9日現在、インド気象局の報告によると平年比マイナス9%にまで緩和されている。

 

下の図はインド気象局のサイトより転載したものだ。グリーンで示される地区は平年並みの降水量(といっても±19%の幅だが)、赤で示される地区は平年値よりも20%以上の渇水地域、青で示されるマディヤ・プラデーシュ州西部は現時点で平年値よりも29%増の累積降水量を記録している。

 

インド全土の降水量 対平年値比の推移 8月以降回復基調にある(インド気象局 Current status of Monsoon 2012 and Forecast for next one week 7.Sep.2012より転載)
インド全土の降水量 対平年値比の推移 8月以降回復基調にある(インド気象局 Current status of Monsoon 2012 and Forecast for next one week 7.Sep.2012より転載)

 

特にインド中部・南部では8月以降、豪雨を含む活発なスコールを記録し、平年並みか平年以上の雨量となった。カルナータカ州では、モンスーン初期には少雨のために貯水池の渇水が懸念され、飲み水や水力発電への深刻な影響が心配されていたが、完全に水位が回復した。オディーシャ州からアンドラ・プラデーシュ州、タミルナードゥ州に続く東岸部は、インドの主要な米作地帯の一つで田んぼに大量の水を必要とするが、この1カ月でほぼ農業用水の心配が払しょくされた。

一方でインド北部、いわゆるEAGと呼ばれるガンガー流域では、6,7月の日照りからは解放され、デリーなどは出は激しいスコールによる都市機能の麻痺は報じられているが、全体としてはまだ少なめだ。この辺りは小麦の生産が多い地域だ。そしてもう一つのインドのコメどころ、インド北東諸州も例年に比べて極端に少雨の傾向が続き、局所的には干ばつといっていい状況のようだ。

農業局の報告によると、日照りが深刻だった7/20時点での主な作物の播種状況(面積ベース)は、米については昨年比11%減、あわやひえ、きびなどの雑穀類が25%減、豆類は32%減、小麦は20%減、食用種子は10%減、綿花は9%減、サトウキビは4%増だった。米は小麦などは主要穀物なので、元々雨の少ないパンジャブ州、ハリヤナ州、ウッタル・プラデーシュ州のようなインド北西部を中心に灌漑設備が少しずつ整備状されていることが、結果に表れているらしい。一方で、従来から豊富な雨量に頼った農業を行っている西ベンガル州などは、今年の少雨の影響をまともに受けるものと思われる。

インド気象局では、今後1週間程度の短期スパンでは北部、北西部、北東部などこれまで雨が少なかった地域における激しいスコールが降ると予測している。しかし1カ月程度スパンの予報となると、引き続き南部での活発な降雨、中部・北部では少雨の傾向が続くと想定しているようだ。

 

→2012モンスーン期の降雨状況と耕作計画(インド農業局)

 

 

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コメント: 4
  • #1

    猫命 (月曜日, 17 6月 2013 22:21)

    今年の南インドの降水量はどうなんでしょうか。
    九月中旬にハンピに行こうと思っています。オンシーズン真っ只中だと、宿代も高騰するので、オンシーズン入る少し前を狙っています。

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  • #2

    tat-tvam-asi (火曜日, 18 6月 2013 05:32)

    猫命さん、こんにちは。このサイトの管理人です。日本は梅雨に入っても全国的にカラ梅雨傾向ですね。インドは雨季に入り、全国的に雨量の多い日が続いているようです。とくに北部がひどく、早くも山間部の巡礼客が立ち往生したり、平原部でも洪水で村が孤立したり、といったニュースが流れていますが、南インドでも今のところ平年を上回る降雨が観測されているようです。
    http://www.imdpune.gov.in/mons_monitor/homo.gif

    インドの気象局は長期予報も出していますが、日本と同様にそれほどアテにはならないな、という印象を持っています。一応、今年の雨季の降水量は全国的には平年並みか少し下回る程度(98%)、しかし南インドは平年並みか少し上回る程度(103%)と予想しているようです

    http://www.imd.gov.in/section/nhac/dynamic/press_eng_update.pdf

    ハンピですか、わたしは昔乾季に一度訪れただけですが、灼熱の地でしたね。内陸にあるので雨季といえどもゴアやケララ州などの西部沿岸に比べると、ぐっと降水量は少ないと思いますが、この辺りはもともと6~8月よりも9月の方がよく降るそうですね。土砂降りの中のハンピの遺跡を一度見てみたいものです。

    なお、南インドの雨季が終わるのは例年では10月半ばだそうです。

  • #3

    猫命 (火曜日, 02 7月 2013 14:06)

    丁寧に教えて頂き、ありがとうございました!
    九月は雨季真っ只中なんですね…
    迷いに迷って、今日予約に行こうと思います!

  • #4

    tat-tvam-asi (火曜日, 02 7月 2013 23:36)

    猫命さん、こんばんは。わたしも9月ごろに、バンガロールにですが行くかもしれません(現在調整中)。雨季でも楽しんで来てください。