2011年

5月

04日

男が差し出すダウリ

ダウリをめぐるトラブルはインドで減少しているのでは?という思い込みを持っているが、新聞などでは増えているというものもある。ニュースとして取り上げられるのは昔と比べて減っている気がするのだが。。

ダウリというとお嫁さんの持参金というイメージが強いが、インドには新郎側から新婦側に贈るのが慣習となっている地域もあるらしい。グジャラートのある部族のコミュニティで起きた事件は、皮肉にもそういった慣習や文化背景を教えてくれている。

 

→部族少女の家族、ダウリを巡って新郎の兄を殺害

 

農地を所有するオーナーと、その農地を借りて畑を耕して生計を立てる、いわゆる小作農との間で起きた事件だ。オーナーの弟と小作農の娘がデキでしまい、一緒に暮らし始めた。どうやらこの部族コミュニティでは、男女の関係の進み方は、互いに魅かれあった二人が一緒に暮らすことから始まるらしい。これだけでも親同士の話し合いが何度も重ねられたうえで初めて当人同士が顔を合わせるヒンドゥの伝統とずいぶん違うように思われる。むしろ東南アジアや太平洋などにありそうな習慣と共通するようなおおらかさを感じる。この記事を見たとき、インド東北部のできごとかな?と思ったのだが、そうではなく、インド西部のグジャラート州で起きた事件だそうだ。インドといってもいろいろあるんだなあ、とつくづく感じる。そして二人が一緒に暮らし始めると、男側の家族から、女側の家族へダウリを贈る習慣があると言う。この事件の場合、その贈物を巡ってトラブルになり、両家で何度か話し合いの機会が設けられたものの、土地の一部をくれと要求する女側の家族と、それを拒絶する男側との間で溝が埋まらず、腹を立てた女側の家族5人が、新郎の兄にあたる農地所有者を石で打ったりして殺してしまい逮捕された。

2001年の国勢調査によると、この事件の現場となったGujarat州Valsad districtは人口141万人で、そのうち指定部族に指定されているDhodiaが25.8万人、Varliが21.2万人、Koknaなどが12.3万人となっているので、山間において独特の文化風俗と習慣を守る部族が生活している地域のようだ。事件を起こした部族もこれらのうちのどれかかもしれない。Valsad districtでは識字率も69%なのでまあまあ(特に極端に低いわけではない)、学歴も普通、性別割合も920なので国の平均レベルであり、山間部だからといって特に行政から置き去りにされているというわけではなさそうだ。しかし指定部族が人口の56%を占めることを考えると、貧困にあえぐ地域であることは想像できる。

 

→2001国勢調査によるValsad districtの概要