2012年

7月

30日

インドの交通事故、改めて

以前、インドで年間に起きる交通事故件数についてのニュースをピックアップしたエントリーを掲載した。

→インドの交通事故は年間10万人以上

→インドの交通事故は年間16万人に

2番目のエントリーでは厚生省や運輸省のサイトを確認してみたが、事故件数の素のデータが見当たらなかったのだが、最近、改めて統計を見る機会があったので、少しまとめてみた。参照した統計は以下の通り。

→運輸高速道路年次報告書2011-12年版(ANNUAL REPORT 2011-12,MINISTRY OF ROAD TRANSPORT & HIGHWAYS)

→インドの事故と自殺白書2011年版(ACCIDENTAL DEATH &SUICIDES IN INDIA 2011,NATIONAL CRIME RECORDS BUREAU-MINISTRY OF HOME AFFAIRS)(左のメニューからADSI 2011を選択)

 

実はこの2つの白書の間で交通事故の件数や負傷者、死者の数に差がある。困ったものだ。

まずインドにおける自動車の普及状況について、運輸高速道路省の年次報告2011-2012によると、自動車の登録台数は(少し古いが)2009年の時点で約1億1945万1千台となっている。車種別の割合は以下の通り。

 

この10年間で、価格的に手に入れやすい二輪車(オートバイ)が、四輪車よりも速いペースで増加し、シェアを広げてきた。最近、都市部では女性がスクーターに乗る姿も目立ち始めた。スクーターならサリー姿でも乗れるので、女性向けのカラーやスタイルのスクーターが次々と発売されている。特にジーンズ姿の女子学生がスクーターで通学する姿は珍しくなくなっている。

下のグラフは、運輸高速道路省の年次報告2011-12のPage.46に紹介されている2001年~2010年までのインドの交通事故の推移をグラフ化したものだ。上の線から事故による負傷者数、交通事故全体の件数、交通事故による死者数、死者を出す致死事故自体の件数となっている。負傷者や死者が、それぞれ事故件数よりも多いのは、一度の事故で複数の負傷者・死者が出ることが多いからだと考えられる。

しかし二輪車の登録台数が急増する中、交通事故の件数、負傷者や死傷者ともにことさらそれに比例して増加しているようには見えない。

交通事故の件数は、2011年で44万件ほどしか記録されていない。1億1945万1千台の自動車(二輪含む)が登録されながら、である。ちなみに日本は7866万773台(平成23年3月、自動車検査登録情報協会http://www.airia.or.jp/number/car/2011/2011c03.pdf)の保有台数で、69万1937件の事故件数(平成23年)となっている。

日本と較べて交通事故件数も交通事故による負傷者数もずっと少ないインドだが、死者数は日本の27倍もあるということは、事故の激しさの違いに拠るものか、軽微な怪我を伴う事故を警察に届け出る習慣が日本とインドで異なる(日本では几帳面に届け出るのに対して、インドの方はその場で警察に届け出ずに当事者間で済ませてしまう)のかなど原因は分からない。

次にインドの交通事故について多面的な分析を行っている国家犯罪記録局の「事故死と自殺白書2012」を確認する。

 

これによると、2011年のインドでの交通事故の件数は44万123件、交通事故による死者数は13万6834人、交通事故による負傷者は46万8795人と記録されている(ちなみに2010年度のそれぞれの数字は、先に示した運輸高速道路省の年次報告の数字と少し差がある)。

交通事故による死亡者がどういう乗り物に乗っていたかを分析すると、登録自動車の72%を占める二輪車が最も多いとはいえ、22%にとどまっており、意外にも少ない。身体が露出している二輪車は全ての自動車の中で最も生命のリスクが高いように思えるのだが、統計上では低い割合にとどまっている。逆に割合が高いのはトラックやトレーラーなどの貨物自動車だ。

地域別にみると、マハラシュトラ州、タミル・ナードゥ州、ウッタル・プラデーシュ州は自動車登録台数の多さに比例するように交通事故件数、交通事故の死亡者ともに多い。そしてアンドラ・プラデーシュ州は自動車の登録台数がやや劣る割に、交通事故件数、死亡者ともに多く、交通事故が起きやすくなっている地域といえそうだ。また、自動車登録台数は少ないものの、州内に山岳エリアを多く含むアルナーチャル・プラデーシュ州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、シッキム州なども道路事情の悪さからか、交通事故の件数、死亡者数ともに目立つ。

アルナーチャル・プラデーシュ州の交通事故の多さは、主にトラック・貨物自動車の事故が占めている(全国の13.5%)。一方、バスの事故が多いのはタミル・ナードゥ州、マハラシュトラ州は二輪車の事故が多いと報告されている。

インドで交通事故の多い都市はどこか。人口100万人以上を擁するメガシティーのワーストランキングは以下の通り。

●交通事故の件数ワーストランキング(2011年度)

1.チェンナイ(9845件)
2.デリー(6065件)
3.ベンガルール(6031件)

4.ムンバイ(3525件)

5.ジャイプール(3036件)
6.ナーシク(2873件)

●交通事故による死亡者数ワーストランキング(2011年度)

1.デリー(1679人)
2.チェンナイ(1399人)
3.ジャイプール(833人)
4.カンプール(804人)
5.ムンバイ(743人)