家柄、カースト、経済力。。。不公平なインドの小学校入学

Right To Education(RTE) actという、インドの教育行政では画期的な法律が施行されてちょうど1年になるそうだ。この法律は、簡単に言えばインドの全ての6歳から14歳までの子どもについて、州が責任をもって無料で教育を受けさせなければならないという憲法の21条A項(2002年に追加)に沿って、具体的に州が講じるべき施策を定めた義務教育に関する法律だ。驚くことにインドでは義務教育に係る法的な整備が為されたのはつい最近のことなのだ(憲法修正が2002年、RTEactの公布が2009年)。

しかし現実には、インドで子どもが小学校への入学を申請するにはさまざまな障害があることが指摘されている。子どもの家庭の家柄やカースト、経済力などによって振り落とされ、事実上門前払いを食らうことが多いという。私立学校ではその経営の自由さ、独自性に配慮しつつも、社会的・経済的に弱いクラスの子供をEconomically Weaker Section (EWS) として全体の25%の入学を認めることが義務付けられているが、守られないことが多いそうだ。

危機感を募らせる各州では、学校当局に対し、年度末を控えて今年初めから通達を出している。

EWSからの子供の入学を拒否する学校には認可取り消しも---デリー

デリーでEWSの親向けの入学申請キャンプ開催--では、貧困層に属する親たちが、学校に対する様々な不満をボランティアに訴えたという。例えば、学校が入学願書を彼らに渡してくれない、入学願書を買うのに規定の25Rs以上要求された、そもそもEWSのための入学枠を設けていないと言われた、、、など。

州政府、小学校に対し入学テストの実施を禁じる通達---グジャラート州
州政府は、入学を希望する児童に対する「適性テスト」、親への面接調査、親の学歴証明書の提出などを禁じる通達を各小学校に送った。原則的に授業料を払う用意のある児童と親に対しては、その社会的地位、階級に関わらず、申請した順番、もしくはくじによる入学を認めるよう、また定員や優先枠の数、入学許可の方法などを広告で明らかにし、透明性を確保した上での手続きを進めるように指導している。

州政府、保育園に入園手続きに関するガイドラインを発表---チェンナイ
生後丸3年を迎えた子供に対し、入園テストを実施してはならず、入学申請料は50Rs-を超えてはならない。また、それ以外の料金徴収や親の学歴を問うことも禁じている。

これらの通達は、裏を返せば学校ぐるみで教師らが、入学を申し込む児童たちを、その出自、出身階層によってふるいにかけるような行為が広く行われているということを示している。カーストが幅をきかす社会では、学校という社会にもそのバイアスがかかるのは、ある意味自然というか、当然見られる現象だ。しかしそれを変えていく力も、教育にはあるはずだ。