1/30 またもや深夜のコルカタ空港に到着


コルカタの空港に到着したのは、深夜の12:00を過ぎてからだった。モダンになった空港ターミナルは静かだった。イミグレに到着する前にアライバルビザの受付コーナーがあり、数人がなにやら書類に記入していた。


イミグレの前で係員に渡されたdisembarkation card(入国カード)に記入し、イミグレを通る。小さな穴が沢山空いた機器の前に顔をかざすよう促される。なにか顔を撮影しているようだ。


インドに入国するときに忘れてはいけないことがある。入国都市の滞在予定のホテルの名前と住所を紙などに控えて飛行機に乗ることだ。入国カードに記入する欄があり、たとえ予約してなくても、どこか適当に記入しないといけない。それを忘れると土地勘のない外国からの旅行者はイミグレの前でもたつくことになる。それと単純な話、機内手荷物のバッグの中にボールペンを入れておくのを忘れないことだ。


深夜ということもあって到着便も他にないのか、イミグレ、機内荷物の受け取りも税関も混雑することもなく、特に引っかかることなく、スムーズに抜けることが出来た。以前に比べたら、スマートになったものだと思う。


昨年同様、出口付近のロビーで一晩過ごすことにする。軍服を着て銃を担いだ警備兵があちこちに立ち、うろうろして、なんだか物々しい雰囲気だが、かれらは立ち入り禁止エリアに誤って侵入する客を注意する以外は、特に何もしない。重い荷物を担いで到着ロビーをうろうろする。間違って出口扉から建物の外に出ないようにしよう。一度出てしまうと再び入るのに厄介なことになりそうだ。


売店形式のちいさなカフェがいくつか、開いている。一応24時間オープンのようだが、店員は客が来ない間は、いすに座って居眠りしている。


サモサや、何かカレーの入ったサンドウィッチ、ペストリーのような軽食も並べられているが、一見して高い。どれも100Rs前後する。街中でもその程度の高級店はあるので、特別なことではないのだろうが、それでも壁に掲げられたメニューを見ると、ちょっとひるんでしまうような値段が並んでいる。国際線を利用する客なんだから、このぐらいは当然ということなのだろうか。


空腹に我慢できず、どうせならということで200Rsのビリヤーニを注文する。店員の少年は眠そうに目をこすりながら、レンジで温めてくれた。



ガラーンとした到着ロビーだが、国内線への乗り継ぎを待つのか、自分と同じように夜が明けるのを待っているのか、ベンチにポツポツ座る人影が見える。ここの3連ベンチはアルミメッキの頑丈なつくりで、アームレストもあるおかげで基本的には寝転ぶことができない。こうして夜を明かす身になってみると、むしろ横になるのを防ぐためにこんな造りになっているんだろうとさえ思えてくる。


こんな感じの椅子が並んでいる。寝ころぶのは難しい。


しかし中には堂々と横になってブランケットをかぶり、寝息を立てている者もいて、一体どう体を折り曲げたらあんな風に寝れるのだろう?と不思議に思う。


ビリヤーニを持って歩いていると、その理由を発見した。この、出来て間もない空港施設だが、すでにこの頑丈な造りのベンチのアームレストをいくつか壊すつわものがいたらしい。取り替えずにそのままになっているところがインドらしい。早速そこに陣取って、まずビリヤーニを食べることにする

中にはこんなアームレストが取れた椅子も。早速ここに荷物を置いて過ごすことにした。


食べ終わって、おもむろにタブレットを取り出してみる。ブラウザーを開いてreloadしてみると、TATAの提供しているWIFIサービスの画面が現れる。そのままでは接続できず、携帯の番号を入力して送信すると、SMSでログインコードとパスワードが送られてくるので、それを改めて入力し、初めて接続が許可される。改めて画面を眺めていると、各国の携帯電話に対応しているらしく、プルダウンメニューから選択できるようになっている。スマホにマレーシアのSIMを挿しっ放しにしていたので、その番号を入力、送信してみると、ちゃんとSMSが届いた。


喜んでタブレットをネットに接続して、メールのチェックなどする。サービスの提供元をよく見ると、TATA-docomoではなく、TATA indicomとなっていた。



日本の通信会社、NTTドコモがインドに進出し、地元の財閥系TATA傘下の通信会社に出資し、通信会社TATA-DOCOMOを設立。しかし5年で2000億円以上の赤字を計上し、改善の見込みも立たないことに音をあげて撤退を申し入れたものの、設立前に結んだ株式買取の仲介の約束を履行してもらえず、国際仲裁裁判所に訴えを出しているのだそうだ。


この一連の報道に、日本からの旅行者としてなんとも悲哀を感じるではないか。せっかく楽しみにしてインドに来たのに、地元の人にいいように騙され、損までして、もうこんな国から逃げようと決意したのに、逃げるにもお金がかかるんだといわんばかりに最後の身ぐるみまで剥がされてしまう。NTTドコモの一連のインド進出と撤退劇にそんな旅行者の姿を重ね合わせてしまうのだ。


インドの巨大な市場は世界が認めるところだ。しかし外資の参入は難しい。docomoがインドへの投資で出した多額の損失と撤退に係わるトラブルを、世界中の企業が見ていることだろう。


TATA indicomの提供するフリーWIFIサービスは30分だ。30分すると接続が切れ、無情にもここからは有料サービスになります、という画面が現れた。