2/3 ●ウッタルカーシーへ向かう

昨日ハリドワールから着いたバスターミナルに行くと、ウッタルカーシー往きは別のバススタンドだとリクシャの人に言われる。こんな小さな町に二つあるのかと思いながら連れて行ってもらうと、確かにウッタルカーシー往きのバスがあるが10:00出発だといわれる。1時間半待つことになった。いくらでもバスがあると思いきや、意外と便が少ないものだ。

リシケシュからバスは山を登っていく。平地の埃をかぶった木々と違い、本来の緑が徐々に増えてほっとする。途中、Chammbaという町で昼の休憩。14年前に来たときは、5分歩けば端から端まで歩けたような小さな集落だったのに、今はずいぶん大きくなってちょっとした町に変貌していた。商店が増え、賑わっていることに驚く。30分歩いても全部は見切れなかった。

Chammbaを過ぎた辺りから、山を見ていると禿山が多くなっていることに気がつく。見渡す限り山の上から下まで木がまだらのように生えているだけ、というところも少なくない。しかもほとんどが痩せ地によく繁殖する松の木ばかりだ。山の稜線をフリンジのように松の木が生えているのが見える。山肌は茶色の地が見えている。松の木は材木としても使われるのか、バス道の側にある木などは下枝が順番に枝打ちされている。人口増加によるものなのか、よくまあこれだけ作ったものだと思うほど、山の上から下までずっと段々畑が続いているところもある。麦を作っているのか、この時期あちこちに麦のわらを道端の岩の上や木々の又のところに山のように積んで干している。馬やロバなどの家畜のえさらしい。

それにしてもなぜこんなにも木が流失しているのだろう。潅木が生えているところもあるが、何もまったく生えずに地肌が見えている山も多い。自然要因なのか、伐採などの人為要因によるものか分からないが、これだけ木が減ると土壌の流失も激しいだろうな、と思っていると、あちこちで土砂崩れが起きているのが目に付く。バスで通るときは分からないが、反対側の山から眺めると、通ってきたバス道の上の方からバス道の下にかけてざーっと土砂が流れ落ちているのが分かる。とりあえず車が通れるようにバス道の土砂だけは取り除いたのだろう。土砂が埋まってしまって使えなくなった段々畑のすぐ横に家があり、生活している人たちがいる。命がけだろうが、この辺りどこででも起き得る現象だから安住の地などないのだろう。

 

道自体も端が崩れて道幅が細くなっている箇所がいくつもある。雨季だったらもっとひやひやして通ったことだろう。地元の人が石垣を組んだりコンクリートで擁壁を作ったりして復旧作業に当たっている。ここまでバスで来る途中で、道端に時々ユンボのような重機が置かれてあるのを見たが、いざというときの復旧作業用のためだったのかもしれない。途中でユンボが作業して道をふさいでいる箇所が2つあり、しばらく待たされた。アスファルト舗装された道がほとんどだが、一部はダートの悪路もある。結局、ウッタルカーシーに着いたら夕方6:00を回っていた。8時間のバス旅だった。