●2/19 インドの結婚式 前哨戦

昨日に引き続き、インドマイトリの会の事務所にある図書館が開館する。やはり今日もたくさん子供たちが来た。本を読んでいる時間はまちまちのようだが、中には20分もいないうちに帰ろうとする子供もいる。どうも図書館のメンバーカードを各自もらって、来館のたびにスタンプを押してもらい、5回目、10回目、15回目の節目ごとにシールを貼ってもらえる。それが子供たちをたまらなく魅了しているようだ。しかしいずれにしろ、なるべく本に触れてもらえるのはよいことだと思う。夕方になると子供たちが一気に増え、一気に帰ろうとする。ブラジェーシュさんが一人で子供たちのカードにスタンプを押してやり、読んだ本の名前をファイルに書き込み、新しく来た子のカード作成のために写真を撮ってあげる。とても忙しくしているが、てきぱきとこなしていた。

 


夜は現地スタッフのブラジェーシュさんのお宅にお邪魔した。24日に弟さんがベナレスで結婚式を開くのだが、それに先立ってこのクシナガラのブラジェーシュさんのお宅だけで、村の人や広く友人知人を招待してセレモニーとパーティーを開くという。ベナレスに住むお嫁さんは来ていないので、お披露目はない。日本人の感覚からすると2回もするの?と驚いてしまうが、こちらではそういうものらしい。

クシナガラの中心から少し外れた、明かりすら乏しい村に、家の周りにあらん限りの電飾を飾り付けたブラジェーシュさんのお宅があった。大きなスピーカー数台とアンプがセットされている。電力が乏しい地域なので、なんと農業用のトラクターのエンジンを回して電源にしている。それだけでもかなり大きな音だが、それが気にならなくなるほどの大音量でインドミュージックを流し、男の子たちがスピーカーの前で踊っている。立っていても地面から地響きが伝わってくる。この大音量に驚いたのか、牛小屋にいたお腹の大きな牛が産気づいて、赤ちゃんを産んでいた。

 

お宅の前の、少し広くなっている場所に幕を張り巡らし、椅子がたくさん用意され招待客が座っておしゃべりしている。一体どのくらいいるのか分からないが、途中で帰る人もいれば夜遅くまで残る人もいるだろうから、300人以上はいるのだろうか。近所の村の人を含めればもっとたくさんの人が来ているのかもしれない。ブラジェーシュさんの関係で学校の校長先生なども多数いらっしゃっているようだ。村の細い道が車やバイクであふれかえっていた。

食事は饗宴の名にふさわしく、たくさんの料理人が食材付きで呼ばれていて、たくさんの料理が用意されていた。特に会場の一角ではひたすら小麦粉をこねては焼き、揚げている。招待客が大きな皿を持っていくと好きなものを好きなだけ盛り付けてくれる。村の小さな男の子が、ここぞとばかりに体に似合わない大盛りのお皿を抱えてほおばっている姿が、なんだかおかしかった。みんなこれを楽しみに来ているのだろう。自分などは本当に少しだけつまんだだけだった。このパーティーの規模だけ見ても、ブラジェーシュさんのお宅の財力が窺い知れる。また、大きなお宅にはそれなりのことが求められる社会なのだろう。

途中、儀式的なものがあった。ブラジェーシュさんのお宅は少し変わっていて、御兄弟に仏門に入られた方がいて、その関係でお坊さんが何人も来られて儀式を執り行う役を担っていた。しかし新郎に当たるブラジェーシュさんの弟さんを含め、ご家族はほとんどヒンドゥーだ。こういった柔軟さというのは、仏蹟ならではなのかもしれない。言葉が分からず、お坊さんがどういった内容の言葉を唱え、一つ一つの所作やプロセスにどういう意味があるのか全く理解できなかったのがとても残念だった。こういう機会はめったにない。